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LESJビジネス英語サービス行政書士事務所のブログ

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2011年 06月 04日

回転寿司のようにはいきません

翻訳業界も、「速い、うまい、安い!」が求められる時代です。

機械(翻訳ソフト)を駆使して、分業で仕込み(下訳者)と
仕上げ(翻訳者)をして、チェーンコンベアに乗せたものが
チェッカーとコーディネーターの最終点検の後に納品
となります。

この間、全員の頭にある最優先課題は「スピード」
でしょう。単価が安い訳ですから、量をこなさなければ
儲かりませんし、欲しいものがすぐに手に入る気軽さ
と速さが目当てで来ているお客さんが多い訳ですから
「遅いなら意味ないよ!」っということになりますよね。

でも、何もかも、全てに速さを求める風潮はどうなんだろう?
と思います。翻訳は、目に見える文章を置き換える作業
ではありますが、実は、異国の文化の中で生まれ育った
書き手と読み手の間を、目には見えない概念と概念を
置き換えながら橋渡しをしていくプロセスでもあります。

「どうやったら、一番良く伝わるだろう。。。」と常に考えながら
進める作業の中では、言葉の候補が沢山頭に浮かびます。
その中で、一番納得のいく言葉を使っていくわけですが、
このプロセスで、「時間、時間」という気持ちが頭にあると
いくつかの段階を省略せざるを得なくなってしまいます。

もちろん、そんなことは、作り手(翻訳者)の勝手なこだわりで
「読み手にとっては、大差ないよ。」とおっしゃる方もいらっしゃる
かもしれません。

それでも、「こだわりたいから、翻訳が好き。」という人間に
とっては、ドンピシャの言葉のマッチングがうまくいった瞬間
が重なって出来た作品を納品出来て、そういう作品が
「あれは、分かりやすかった。また頼むよ。」と言ってもらえた時が
何よりも嬉しくて、「あー、翻訳やってて良かった。」と思えるわけです。


こだわりには、試行錯誤がつきものです。
試行錯誤には、どうしてもある程度の「クリエイティブに、悩む」
時間が必要です。



私が翻訳に興味を持ったのは、クライアントとして翻訳を外注
していたころの経験が影響しています。

残念なことに、納品されてそのまま使える翻訳はほとんどなく、
ネイティブが大慌てで、ほとんどを書き直すようなことも珍しくは
ありませんでした。英語から日本語であっても、単純なミスを
発見したりして、がっかりしたこともありました。
今考えれば、皆さん必死で訳してくださったのでしょうが、
プロである以上、ある程度の水準をクリアしなければならないこと
は当然ですよね。

私は、クライアントがそのまま現場で使える「完成品」を意識
しています。ですから、自分がビジネスの現場をイメージ
できない分野の翻訳はお引き受けしません。

自分が最低限必要な訳出スピードも分かっているので、
万が一にも、お客様に迷惑がかかってしまいそうな納期の仕事も
お引き受けしません。

All or nothingの覚悟で、確実に納得のできるものがご提供
できそうにない条件ならば、ゼロを選んでしまう性分なのです。

そんなこだわりは捨てないと、プロとしてはやっていけないかな。。。
と弱気になっていたところ、有名翻訳家、山岡洋一氏のこちら
記事を見つけました。自分の仕事について「最終責任を負う態度」
の重要性について語っていらっしゃいます。

「そうかぁ、一度に一人のお客様」でも、いい仕事をして、
またその方が帰って来て下されば、結局二人になるもんなぁと
スロースタイルの営業方針に自信が持てた瞬間でした。

★おまけ★

寿司繋がりということで、先日近所のデパートの金沢物産展に
遠路はるばる出店してくださった金沢の玉寿司さんの海鮮ちらし寿司
の画像をご紹介します。

回転寿司のようにはいきません_c0228650_218374.jpg


食事というよりは、一つの経験に近い、最高に美味しいお寿司でした。
店内は、私と母だけでしたが、「来年も必ず行こう!」と熱く語りあいました^^

需要と供給の期待値がぴったり合致するところには、ビジネスとは言えども
感動がありますね043.gif

by lesj | 2011-06-04 21:26 | 通訳・翻訳


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